SNSの友人数は若い人になるほど大きくなる傾向

 自傷や自殺についての話を聞くことが増えている。そして「ネットいじめ」の問題は、国際的なテーマにまで発展している。

 24の国々で実施された世論調査によると、12%の親が、自分の子どもがネットいじめ(繰り返し嫌がらせを受けたり、からかわれたりすることで、多くは集団的に行われる、と定義されている)を経験したことがあると回答した。

 また、コンシューマー・レポートが米国で行った調査では、前年度の1年間で、フェイスブック上で100万人の子どもが「嫌がらせや脅迫を受けるなど、各種の形態のネットいじめを受けた」という結果が出ている。

 なぜこのような事態が起きているのだろうか?

 一般的な話をすると、若い人になればなるほど、ソーシャルネットワーク上の友人の数は増える傾向にある。2014年にアメリカ人のフェイスブック・ユーザーを対象に行われた研究を見てみよう。

 65歳以上の人々の場合、平均の友人数は102人だった。それが45~54歳になると、平均220人になる。25~35歳では、平均360人だった。さらに18~24歳になると、友人の平均数は649人という結果が出た。

 それでは「SNS上の透明人間」である、13歳未満の子どもたちの場合はどうなるのだろうか? 答えは誰にもわからない(主要なSNSでは、13歳未満は登録できないことになっているためだ)。実際には、非常に多くの子どもが利用していることが判明しているにもかかわらず信頼できる調査結果がないのだ。

 この数字がいかに異常なものかについて、少し議論してみよう。オックスフォード大学の心理学者で、人類学者でもあるロビン・ダンバーは、霊長類が大きな脳を持つのは、複雑な交流関係を持つ社会の中で生きているからだと主張している。実際に、動物が形成する集団の規模は、新皮質、特に前頭葉の大きさから予測することができる。人間も大きな集団の中で暮らす傾向があるため、大きな脳を持っている。

 その集団とは、どのくらいの大きさだろうか?平均的な人間の脳のサイズから考えると、平均的な個人が対応でき、安定的な関係を維持できる社会的接触の数、あるいは「知人」の数は、およそ150人であるとされている(これは「ダンバー数」と呼ばれる)。

 実際にこの数は、人類の歴史を通じて一貫して現れている。狩猟採集民の社会規模や、軍隊における一部隊の規模、多くの企業内部門の規模、クリスマスカードの送付先リスト内の人数、結婚式の招待者数といった具合だ。ダンバー数をはるかに超える集団は、あまりに複雑になるため、適切な処理を行うことができない。

 フェイスブックにページを開設し、インスタグラムのアカウントを持っている子どもがいたとしよう。その子はスナップチャットやワッツアップ、ツイッターといったサービスにも登録している。そこにさらに、携帯電話や電子メール、インスタントメッセージの連絡先が加わる。オンライン上でアクティブに行動し、SNSにも興味のある子どもは、こうした交流の相手が数千人にも達する可能性がある。