『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日合併特大号の第一特集は「2018年版 決算書100本ノック!」。特集の発売に合わせた特設サイトでは過去の財務特集の人気記事や漫画などを無料で公開中。今回は本誌の人気連載「財務で会社を読む」からRIZAPグループの財務分析です。同社はアパレルや雑貨店など赤字の会社を次々に買収し、2020年度には16年度の3倍となる売上高3000億円を目指していますが、急激な成長に、財務面でのリスクはないのでしょうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

「結果にコミットする」といううたい文句と有名人の引き締まった体のCMで知られる減量ジムを展開するRIZAP。それを中核とするRIZAPグループの攻勢が著しい。中期経営計画で、2020年度に売上高3000億円、営業利益350億円(16年度はそれぞれ953億円、102億1300万円)を掲げているのだ。

 この急拡大の原動力がM&A(企業の合併・買収)だ。グループには、ジーンズメイト(アパレル)、マルコ(補正下着)、日本文芸社(出版)、イデアインターナショナル(雑貨)、タツミプラニング(リフォーム)など、17年3月末で51社(16年3月末で23社)を抱え、今年に入ってからもCDショップ「新星堂」を展開するワンダーコーポレーション、フリーペーパー発行のサンケイリビング新聞社を買収した。

 減量ジムとは関係なさそうに見えるが、「自己投資に関する事業と、メディアや販売網といった機能という二つの軸でシナジーがある」と瀬戸健社長は言う。

 その手法は、簡単に言えば上場している赤字企業を安値で買い、事業再生して株価を上げ、市場から資金を集めてさらなるM&Aを図るというものだ。

 注目したいのが営業利益だ。会計基準を15年度からIFRS(国際会計基準)に変更したため、業績の悪い企業を純資産額より安い価格で購入すれば、その差額である「負ののれん代」が割安購入益として営業利益に計上されることになった。17年4~12月期の営業利益81億円のうち、割安購入益分が30億円を占める(図(2))。瀬戸社長は「上場子会社8社を合計した営業損益の赤字が17億円あるにもかかわらず、営業利益は拡大した。割安購入益分を除いても増益を達成した」と言う。

 もっとも、「COMMIT 2020」という名称が付いた中期経営計画の達成に向けては、負ののれん代の役割は大きい。営業利益をかさ上げできるためだ。