東京一極集中と聞くと、地方から一切合切の人口を吸い尽くしているような印象を受ける。しかし、東京都への流入超過は1957年の24万4010人をピークに一度下降し、意外にも1967年から1996年までの30年間のうち、29年間は流出超過を記録している。同期間になんと208万2586人が他都道府県に流出しているのである(※1)

 1997年以降は回復傾向にあり、2016年の東京都への流入超過は7万4177人、一都三県への流入超過は11万7868人となる(※1)

 年間市区町村間移動者数は488万0967人にも上り、現在の日本の人口は1億2652万人(※2)という中で、これを一極集中と表現するのは少し言い過ぎの観もあるように思う。

 (※1)=住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)  (※2)=人口推計 平成30年3月報(総務省統計局)

移住をコントロールする政策が進む

 地方の人口を維持するために、政府は各自治体に将来の人口ビジョンや目標を作成させた。しかし、その結果として、非現実的な移住者獲得数や合計特殊出生率の目標を掲げている自治体が散見される。

「よそから移住者を奪うのではなく、人が幸せになれる移住を提供したい」と、本質的な視点で語る自治体職員が存在する一方で、多くの自治体間では補助金を中心とした移住者の獲得競争が続く。

 それと歩調を合わせるかのように、地方から東京への人口流入を防ぐ施策も進む。2018年2月に政府は「東京23区の私立大学等の定員数増を認めない」とする方針を閣議決定したが、学生の教育機会を奪い、学力の低下を招くと問題視されている。加えて、年間3000億円以上(※3)の補助金が投下されている私立大学の経営に悪影響を及ぼすとともに、教育の独立性、自主性を損ねるリスクもある。

 (※3) 私学助成に関する参考資料(文部科学省)

人口増を前提にした、社会システムの制度疲労

 人口減少という単体の事象は、人々の幸福度に直接的な悪影響を及ぼすものではない。真の課題は、人口増の社会を想定して作られた社会保障システムが制度疲労を起こしていることである。

 もちろん、急激な人口減少が引き起こす過疎化が、セーフティーネットを破壊することは問題である。しかし、移住は国民の自由であり、都市部への移住は若者自身やその家族の意思によってもたらされた結果である。それは必ずしも悪とは言えない。