上は「Amazon MP3 ストア」。1曲200円程度からダウンロード可能。Amazon限定配信やキャンペーンも多い。下はiTunesの動画ダウンロードサービス。新旧国内外の映画が多い。

 Amazonと言えば、書籍からCD、DVD、家電、洋服、日用品などなど、様々なものを通信販売してくれる巨大インターネットショッピングサイトだ。知らない人はいないだろう。そのAmazonが11月9日、MP3のダウンロード販売を開始。その名も「Amazon MP3 ストア」だ。

 音楽のダウンロード販売といえば、アップルの「iTunes Store」やソニーの「mora」などがあるが、Amazon MP3 ストアの最大の特徴は、すべての曲データがDRMフリーということだろう。

 DRMとは、デジタルデータのコピーや視聴の制限をするための技術。主に著作権を守るために、データに適用される。通常ダウンロード販売されている曲データは、コピーされないようにDRMが適用されていることが多い。

 しかしAmazonは、このDRMをかけていない。考え方としては、「自分で買ったCDをパソコンやポータブルオーディオプレーヤーに自由にコピーして聴く」という感じだ。ユーザーは、自分で購入した曲データを自由にコピーできないという不自由さを、味あわなくて済む。

 また、無料でダウンロードできる楽曲があるのも特徴の1つ。まずは無料の曲をダウンロードしてみて、Amazon MP3 ストアの使い方などを理解してみるのもいいだろう。

 ダウンロードに関しては、専用のダウンローダーをインストールすると便利。複数の曲を一度にダウンロードする場合は、このソフトは必須だ。ダウンロードの手順は、Amazonで買い物をする方法とほぼ同じ。ただし、代引きやコンビニ決済などは使えず、基本的にクレジットカード決済のみとなっている。

 なお、購入した曲は1度しかダウンロードができない。仮に間違ってデータを消去してしまった場合は、再度購入する必要がある。

 音質はなかなかだ。ビットレートは可変式のVBRで、上限は256kbpsのようだ。日本の楽曲がまだそれほど多くないが、海外の曲は充実している。マニアックな曲もあるので、探してみると面白いだろう。

 もう1つ、11月に始まったのが、アップルの映画ダウンロードサービスだ。これはiTunes Storeから映画をダウンロードできるサービス。購入とレンタルがあり、映画を購入すると1本1500~2000円程度、レンタルなら新作400円、旧作200円といった価格帯となっている。

 購入した映画は、パソコン、iPhone、iPod touch、iPadのどのデバイスでも視聴可能。ただし自分のiTunesアカウントで登録されているデバイスに限る。レンタルの場合は、30日間保存可能だが、一度視聴したら48時間後に見られなくなる。レンタルの場合、パソコンでダウンロードしたものはiPhone、iPod touch、iPadに移動して視聴可能だが、iPhone、iPod touch、iPadでダウンロードしたものは、他のデバイスに移動できない。

 Amazon MP3 ストアとiTunesの映画ダウンロードサービスは、これからの音楽や映画の楽しみ方を大きく変えるものになる可能性がある。音楽はすでにダウンロード購入が浸透しているが、映画までダウンロードで済むとなると、もはやレンタルショップは不要となるのではないだろうか。

 CDやDVDを「借りる」という行為は、購入に比べるとかなり一時的なものだ。しかし、ダウンロードという行為はさらに瞬間的なもの。この瞬間だけで購入したりレンタルしたりできるとなると、家からわざわざレンタルショップに行くという手間をかけようとは思わなくなる可能性が高い。

 筆者は音楽好きなので、好きなアーティストのCDは購入して手元に置いておく主義だが、それほど好きなアーティストではない場合は、レンタルショップや図書館で借りてパソコンに取り込んでいる。しかし、レンタルショップに借りに行ったり返しに行ったりする時間や手間を考えると、ダウンロードで十分と感じる。

 また、映画レンタルの場合は、出張で向かう新幹線の中で、1~2時間程度の時間をつぶすのに最適。特にiPadの大型液晶であれば、かなり楽しめる。わざわざDVDビデオとポータブルDVDプレーヤー、ノートPCを持って行くまでもない。

 これからは、CDやDVD、ましてやBDなどは不要の時代になる。見たいとき、聞きたいときにその場でダウンロードして見聞きすればいい――。この2つのサービスには、そう感じさせるだけのものがある。

(三浦一紀)