生ぬるい対応ではなく、
永久追放処分を

 反則した日大選手は、テレビのニュースなどではプレー映像も背番号をぼかして流しているが、ネットではぼかし無しの映像がアップされている。その映像によれば、日本代表にも選ばれたことのある20代の選手だ。大学生とはいえ、立派な成人でもある。しかも、日本代表チームに選ばれたような選手による今回の犯罪的なプレーは、本当に悪質でしかない。このような犯罪行為を防ぐには、不寛容な対応が必要だと思う。すでにその選手は退部を決意したという報道もあるが、アスリートにとって最も恐れることは選手資格の剥奪、つまり追放だ。ひどい反則プレーをすればそれくらい重い処罰を受けるとなれば、たとえ監督からの指示があっても選手は従わないだろう。

 昔、プロ野球で「黒い霧事件」というものがあった。何人ものプロ野球関係者が八百長試合に関与していたという事件だ。西鉄(現埼玉西武ライオンズ)、中日、東映(現北海道日本ハムファイターズ)、阪神、ヤクルト、大洋(現横浜DeNAベイスターズ)、南海(現福岡ソフトバンクホークス)の各選手が、八百長試合に関与したとされ、何人もの選手が永久追放の処分を受けた。この一連の処分の後、プロ野球の八百長疑惑はピタリと止まった。現役選手にとっては永久追放となるなら、八百長などまったく割に合わない話になるからだ。

 だから、アメフト界も今回のような悪質なプレーを防ぎたければ、選手の指導強化などの生ぬるい対応ではなく、反則した選手を永久追放したほうがいい。そのほうが業界のためだ。また、日大アメフト部も廃部処分にしたほうがいい。日大フェニックスは関学ファイターズと並ぶアメフト界の名門チームだが、名門をつくるには歴史が必要で長い年月がかかる。そうやって築き上げた名門チームの伝統も歴史も、誰かの不正や犯罪的な行為によって一瞬で消える。それくらいの重荷を名門チームは背負ったほうがいい。名門チームとは、他のチームの範たるべき存在なのだから。

 そして、これはアメフトや大学スポーツ界だけの話ではない。近年、多くの名門企業が検査データを改ざんしたり、会計を操作したりという不正をやっているが、今回の日大フェニックスの一件は、それらの企業の不祥事と同根だ。勝つため、売るためなら不正を行ってもたいした処分を受けないとなれば、社会はモラルハザードを起こす。つまり、社会は崩壊する。

 アメリカでは、セクハラをはたらいたハリウッドの大物プロデューサーが業界を追放され、人気ニュースキャスターが番組降板に追い込まれている。ウーバーのCEOも辞任に追い込まれている。セクハラは大きな社会問題だが、社会問題の解決には個別の対処療法ではなく、業界をあげて、社会の「許さない」という空気感をつくり出すことが必要だ。そのためにも、このような厳重な処分が必要となる。

 だから、反則した選手に対しても日大フェニックスに対しても厳罰が必要だが、それと同時に、被害を受けた側の関学ファイターズにも大きな責務が課せられている。猿木選手の悲劇の歴史を抱えたチームだからこそ言うべきこと、やるべきことがあるはずだ。それもまた、名門大学チームの責務だと思う。