サービスや商品の“提供価値”をパクる

 大手コンビニチェーン1600店舗中、クリスマスケーキの予約販売数で全国1位をとった藤井賢吾さんという友人がいます。

 彼はケーキをそのまま売りませんでした。会社の社長を訪問し、「社員やその家族のクリスマスプレゼントとして、このケーキはどうか」と薦めたそうです。

 地方企業、特に歴史ある中小企業の社員は社長にとって家族のようなもの。何かお祝いしてあげたいけど商品券では味気ない。しかしケーキであれば、もらって笑顔にならない人はいない。商品券1万円分より3000円のケーキのほうが喜んでもらえると、次から次へと社長が飛びついたそうです。

 今、物はあふれかえっています。うまくいっているビジネスは物そのものではなく、物を通した価値に着目しています。物そのものの価値より、その裏にある「物を通した価値」に買う理由がひそんでいるのです。これは営業だけではありません。あなたの仕事やサービスを通して、どんな裏の価値を与えていくか、目線を変えればいくらでも応用が利きます。

 生命保険はダイレクトに売るより、年金・退職金の運用方法についてのセミナーを、その道のプロと一緒にやったほうがよく売れます。年金・退職金の運用を効果的に行うための方法の1つとして保険が位置づけられるからです。

 個人レベルでも異業種のやり方をとり込んで成功しているケースは多々あります。ただし、競合が増えたり、マネされたりしないように黙っていることが多いのです。しかし、表に出ないものを1人で暴くことは大変です。

 コツは、異業種で成功している人と仲よくなり、直接教えてもらうことです。同業や競合でなければ親しくなれば意外と教えてくれるもの。場合によっては、互いにお客様や知人を紹介し合えるかもしれません。

 友達の友達はみな友達ではないのですが、知人をたどって紹介してもらうのが一番です。まったくツテがなければSNSもあります。表に出ないところに本当の隠し味があるので、直接仕入れるルートを確保しましょう。

■参考記事
「5万人のリストラ」から見えた万年平社員の共通点とは?