失ったり削ったりした歯を歯科治療で補うとき、白い歯を選択すると高い…。銀歯と白い歯の金額差に、疑問を抱いたことはないでしょうか。金額差は、なんと20倍以上。その差がうまれる理由は日本の保険制度にあります。週刊朝日MOOK「いい歯医者2017」では、気になる治療費のギモンを歯科医師に尋ねました。
たとえば奥歯にクラウンをかぶせる場合、「保険が使える銀歯なら4千円ですが、セラミックなどの白い歯は自費なので10万~20万円です」などと言われることがあります。できれば白い歯がいいけれど、金額は何十倍にも! この差はどうして?
そもそも、保険診療と自費治療、何がどう違うのでしょうか。
国民皆保険制度がある日本では、全国どこの病院・医院でも同じ治療なら同じ費用です。患者が支払う額も1~3割負担のみ。これは歯科でも同じです。ただし、歯科治療では保険適用になる範囲が非常に限定されているのです。クラウンや入れ歯を作るときの材料も、歯によって細かく決められています。それはどうしてなのでしょう。
「日本の国民総医療費は40兆円を突破しているのに、歯科で使われるのは約2兆7千億円だけ。総医療費のわずか6.8%です(平成26年度)。それを約10万人の歯科医師が使うのですから、治療のすべてを保険で認めると医療費はすぐに底をついてしまいます」
そう話すのは、若林歯科医院院長の若林健史歯科医師です。限られた医療予算の中、「命にかかわる病気が優先」ということなのでしょう。実際、欧米で入れ歯やクラウンを健康保険で作れる国はほとんどありません。日本では数千円で作れる「銀歯」だって、海外では数万円から10万円。そう考えるとありがたい保険制度ですが、だからこそ「より快適で、より見た目のいいものを希望するなら自費診療で」というルールになっているのです。