過去、不祥事で志願者が激減した大学は?

 そして、もうひとつの来年の志願者数激減の件。これは入試偏差値の下落につながる、と言い換えてもいいかもしれない。なんにせよ、騒動で今後の日大の人気が落ちるに違いないという世評だ。

 この件に対しては、ほぼありえない、と私は考える。大学人気の上昇や下落は、短期間に起きるものではないし、急に上下するとしたら、キャンパスの移転や入試日程・科目の変更による場合がほとんどである。そういう外形的な要因でしか、大学人気は急変しない。

 たとえば、近年の大学の不祥事や事件・事故で、主なものを列挙してみよう。

2017年5月…東京医科歯科大付属病院で医学部生が歯科医を刃物で刺す
2016年11月…千葉大医学部生3人が女性に乱暴をはたらき逮捕
2016年11月…慶應法学部3年生が女性を駅ホームから突き落として殺人未遂で逮捕
2016年10月…関西学院大学の陸上競技部員が民家に侵入、窃盗の疑いで逮捕
2016年9月…東工大の男性教員を、女性職員へのセクハラで懲戒処分
2016年8月…広島大学の大学院准教授、女子中学生のスカートにカメラを近づけ逮捕
2016年8月…京大医学部の学生、家庭教師先で10万円盗んだとして逮捕
2016年8月…神奈川大の学生が世界遺産のケルン大聖堂に落書きで大学が謝罪
……。

 いやあ、ちょっと挙げ始めたらキリがないほど、いろいろ起きている。けれども、これらの問題で各大学の人気は落ちたか?受験生が避けるようになったなどの話題やデータを、私はひとつも知らない。

 もっと大きなところだと、西早稲田キャンパスでは小保方さん騒動が、いまだタブー扱いになっているそうだ。だが、早大理工系3学部の人気は安定して高い。同じく早稲田のスーパーフリー事件のときも、別にその後、人気急落にはならなかった。他大でも、セクハラやパワハラ問題はあちこちでしょっちゅう発生し、報道されているが、大勢に影響なし。一気飲みの死亡事故が起きたって、それで受験生は離れていかない

 組織病理の見本のような今回の日大問題だって、現象としては(もちろん致命傷でなく幸いだったのだが)相手選手が怪我をしたということである。あんな大学には行きたくない、と思う高校生は、アスリート志願者のごく一部ではないだろうか。

 すべてのニュースがそうだが、情報の消費速度も速くなっている。わーっと騒がれ、あっという間に忘れ去られる。疑い深い見方をすれば、今回の日大騒動は、大学側が「うるさいのは今だけだ」と見切っているのではないか。だから、非を認めない。そのくらい面の皮が厚くないと、あれだけのマンモス大学の経営なんて、できないものなのかもしれない。

 おかしいことはおかしい。真実は真実として明かされるべきだ。そうした正論に、私はなんの異も唱えない。同感である。

 しかし、世間はもっと非情だ。今は人間味のある「怒り」を日大にぶつける人がたくさんいるが、数ヵ月後、はたしてどうか。もともとアメフト自体、マイナースポーツである。「なんだったっけ、それ?」と忘れ去られることを前提に、「日大の汚点」をここに記録しておく。