昨年TPPへの交渉参加を表明した民主党は、今年に入って社会保障と税の一体改革案を発表、足もとで消費税増税法案を閣議決定し、国会へ提出した。しかし、TPPや消費税増税は、野党のみならず与党からも異論が絶えない。昨年末、野田内閣の政策に反対して同志9名と共に民主党を離党し、新党きづなを立ち上げた内山晃代表が、「第三極」の立場から見た政策の危うさと、今論じるべき日本の課題について語る。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)
被災者が生きるか死ぬかのときに
なぜ消費税を命がけで議論するのか
――昨年から今年にかけて、TPPや消費税増税など、国家のあり方を大きく変える議論が行なわれている。野田内閣が推し進める政策には、野党のみならず与党からも異論が噴出しており、国会は紛糾している。現状をどう見ているか。
数年先のTPP交渉参加や消費税増税を今「不退転の決意」で議論することは、あまりにも的外れだ。復興がちっとも進まず、被災者が生きるか死ぬかという状況なのに、マニフェストにも掲げていない政策を、なぜ急いでやる必要があるのか。私には全く理解できない。
――内山代表は、昨年末、野田内閣の政策に反対して民主党を離党し、新党きづなを旗揚げした。現在、新党きづなは、増税反対の立場を鮮明にしている。それはなぜか。また、消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革には、どこに課題があると思うか。
私は消費税そのものに反対しているわけではなく、「時期」に疑問を抱いている。このデフレ下で増税をやるのがいかに大変なことか。「景気が悪くなったら上げない」という景気条項を付けたとしても、2~3年後に景気がよくなる保証は何もない。だったら今、「命がけ」でやるような政策ではない。
それに、社会保障制度と税制は本来切り離して考えるべきものだ。その点においても、一体改革には「まやかし」が隠されている。