昨年TPPへの交渉参加を表明した民主党は、今年に入って社会保障と税の一体改革案を発表、足もとで消費税増税法案を閣議決定し、国会へ提出した。しかし、TPPや消費税増税は、野党のみならず与党からも異論が絶えない。昨年末、野田内閣の政策に反対して同志9名と共に民主党を離党し、新党きづなを立ち上げた内山晃代表が、「第三極」の立場から見た政策の危うさと、今論じるべき日本の課題について語る。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

被災者が生きるか死ぬかのときに
なぜ消費税を命がけで議論するのか

うちやま・あきら/衆議院議員、新党きづな代表。1954年生まれ。千葉県出身。専修大卒。2003年の第43回衆議院議員総選挙で初当選。菅政権の第一次、第二次改造内閣で総務大臣政務官を務める。野田内閣が行なう消費税増税、TPP交渉参加、八ツ場ダム建設再開、原発容認などの政策に反対し、2011年12月末、同志9名と共に民主党を離党。12年1月に新党きづなを結党し、代表に就任。

――昨年から今年にかけて、TPPや消費税増税など、国家のあり方を大きく変える議論が行なわれている。野田内閣が推し進める政策には、野党のみならず与党からも異論が噴出しており、国会は紛糾している。現状をどう見ているか。

 数年先のTPP交渉参加や消費税増税を今「不退転の決意」で議論することは、あまりにも的外れだ。復興がちっとも進まず、被災者が生きるか死ぬかという状況なのに、マニフェストにも掲げていない政策を、なぜ急いでやる必要があるのか。私には全く理解できない。

――内山代表は、昨年末、野田内閣の政策に反対して民主党を離党し、新党きづなを旗揚げした。現在、新党きづなは、増税反対の立場を鮮明にしている。それはなぜか。また、消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革には、どこに課題があると思うか。

 私は消費税そのものに反対しているわけではなく、「時期」に疑問を抱いている。このデフレ下で増税をやるのがいかに大変なことか。「景気が悪くなったら上げない」という景気条項を付けたとしても、2~3年後に景気がよくなる保証は何もない。だったら今、「命がけ」でやるような政策ではない。

 それに、社会保障制度と税制は本来切り離して考えるべきものだ。その点においても、一体改革には「まやかし」が隠されている。