──日本では借金に対して、負のイメージが強いです。
企業には多くのステークホルダー(利害関係者)がいます。では、ステークホルダーは何を期待するのか。企業価値の向上です。
だから、上場企業の経営者が株主に対して、「無借金経営です」と胸を張るというのは、何を考えているんだと言いたいですね。
株主からしたら、企業価値を上げてもらわなければ困る。ところが、借金をしなければ、手元資金の範囲でしか成長できない。
にもかかわらず、借金は悪だと。もはや、論理を超えていますよね。背景には日本人の美徳のようなものがあるのかもしれません。日本人は、借金と聞いた瞬間に一歩引いてしまうんです。
それは、海外から見たら不思議に映るでしょうね。
──企業の成長にとって借金は必要だと。
手元に100兆円も現金があるなら困りません。そうでないなら、成長機会を失わないように借金をする必要があります。
ただ、一方で強調したいのは、成長している企業と右肩下がりの企業では、借金の意味が違うという点です。