顧客に回転売買を勧め、手数料を荒稼ぎする――。金融庁も問題視している、日本の証券業界の悪癖に一石を投じる取り組みをしている企業がある。独立系金融アドバイザーのGAIAである。13ヵ月赤字の地獄に耐えながら、ビジネスモデルの大変革を成し遂げた軌跡をご紹介する。(経済ジャーナリスト 浪川 攻)

証券パーソンにとっての「天国」
IFAでメシが食えるか?

証券業界では手数料荒稼ぎが問題になっている。
コミッション(仲介手数料)依存のビジネスモデルでは、営業マンと顧客の利益は相反する。法律の壁や13ヵ月連続赤字といった難題を乗り越え、GAIAが実現したビジネスモデルとは――

 IFAと呼ばれる職業があることをご存じだろうか。Independent Financial Adviser(独立系の金融アドバイザー)だ。証券会社などに属さずに、あくまでも顧客利益の最大化に向けて資産形成のアドバイスを提供し、その対価を得る。1990年代以降に米国で進展した「証券リテール営業革命」の旗手的な存在と言える。わが国でも近年、証券会社や銀行を退職して、IFAの道を歩もうとする人たちが増えている。

 わが国でIFAの道が開かれたのは2004年1月である。当時の証券取引法改正によって、IFAの法的バックボーンである「証券仲介業」が規定された。その後、証券取引法が金融商品取引法へと移行し、それに伴って「金融商品仲介業」へと名称が変わった。

 IFAは顧客に投資のアドバイスを提供、その対価として顧客が株式、投資信託などを購入する際の手数料を得る。ただし、自身で株式受発注のシステムを持っているわけではなく、ネット証券などとIFA契約を結んで、契約先証券会社のシステムを活用する。つまり、顧客からの注文はIFAから契約先のネット証券などに受け継がれて約定するという意味で仲介業者なのである。

 IFAが負担するのは、契約先に支払うシステム利用費程度である。通常の証券会社が背負う巨額のシステム償却費やランニングコストからは解放された「超軽コスト構造」のビジネスモデルを実現できる。莫大なコストの吸収のために、現実離れした高額の営業ノルマが課され、その達成に向けた強烈なプレッシャーが営業パーソンに及ぶという、対面証券業特有の構図はここにはない。

 いわば、顧客を大切にしたいと願う証券営業パーソンにとって、理念の上では天国のような領域がIFAだが、問題は天国でメシを食っていけるかどうか。現実には、メシを食えずに脱落したり、あるいは、結局、背に腹は代えられないというように、対面証券時代と変わらぬ、顧客からの手数料荒稼ぎビジネスに逆戻りしたり、ザンネンな顛末を迎えるIFAも後を絶たない。

 そうした中で、2005年という早い時期に日本版IFAとして独立して以後、「顧客本位」の理念を一徹に追求し続けているのが「IFAのフロントランナー」と呼ばれる中桐啓貴氏である。同氏は2006年に法人化、GAIA株式会社を立ち上げ、以後、顧客へのヒアリング重視の投資アドバイザーとして活動してきた。顧客は増え続けて、法人化2期目以降、黒字決算を続けるという順風下にあった。