金融政策には2つの顔がある。
1つは雇用を確保する政策としてだ。インフレ目標を掲げているが、インフレ率と失業率は逆の相関関係にあるので、インフレ率と失業率をともに目標にしていると言ってもいいくらいだ。
実際、アメリカ(米国準備制度理事会、FRB)では、インフレ率と失業率は二重の責務ともいわれている。
だが金融政策には政府の財源を作るという別の顔もある。「財源」としての金融政策だ。日本銀行の金融政策もこの2つの視点から考えることが必要だ。
金融政策には「2つの顔」
雇用確保は「下限の失業率」を目標に
雇用確保という点では、本コラムで次のことを繰り返し主張してきた。
つまり、インフレ目標に対応する失業率は、下限といわれるNAIRU(インフレを加速しない失業率)なので、インフレ目標というのは「下限の失業率目標」とも言ってもいいのだ。
なぜ日本でこのような理解が少ないかというと、雇用は日銀の仕事でないと、歴史的に整理されてきたからだ。だがこれは世界の経済学の常識とはかけ離れている。