あと1年は高値圏で推移

 しかし、市場の鎮静化を図ったOPECによる減産緩和合意は、効果が上がっていない。7月2日時点で73ドル台での取引が続いている。

 原油価格上昇の流れを作っているのは、またもやトランプ大統領だ。日本をはじめ世界各国にイラン産原油の輸入量を「ゼロ」にするよう求めたことが大きい。トランプ大統領は、サウジにさらに増産するよう圧力をかけている。

 ただ困ったことに、サウジがさらに増産すれば、世界的な原油の余剰生産能力、つまり天災や紛争などが起きた場合にすぐに対応できる生産能力が低下し、市場に石油が出回らなくなる恐れが出てきてしまうのだ。

 石油天然ガス・金属鉱物資源構(JOGMEC)によると、中期的にはイランの制裁とベネズエラの生産量減少を補う増産が行われた場合、世界石油需要に占める余剰生産能力の割合は2.2~2.4%程度。これは、150ドル近くまで上昇した08年前半の時期を下回る水準だ。

 頼みの米国産シェールオイルは、輸出インフラが整っていないため、市場の安定化に資する量が出回るのは19年後半との見方が多い。

 JOGMECの野神隆之首席エコノミストは、原油価格の見通しについて「55~75ドルを中心とする範囲で推移する。ただ石油供給途絶の懸念は根強く、短期的に下がることはあっても、上振れしやすく、75ドルを超過するといった展開も排除できない」と分析する。

 翻って、日本の産業界でも大きな恩恵を受けそうなのは石油元売り業界だ。

 17年度は大規模な業界再編で石油製品の流通構造改革が進み、市況も改善。原油価格も高値で推移し、各社とも軒並み過去最高益をたたき出した。関係者の見立て通りならば、今年度も我が世の春を謳歌できそうだ。

 しかし、のんびりしている場合ではない。国内は人口減とEVシフトなどにより、ガソリン需要は減少していく見込みだ。

 堅調な需要が見込めるアジア・太平洋で競争を勝ち抜くために、製油所の再編など体制を強化しておくに越したことはない。

(週刊ダイヤモンド編集部 堀内 亮)