こうした事態を助長する可能性があることからも、全く獲らない対策を安易に実施するのは、ニホンウナギ減少のメカニズムが完全に解明されていない現在のところ、直ちには有効だといえない状況にあります。

ウナギ完全養殖はまだ道半ば
「餌」が大きな課題に

――ウナギの完全養殖が行われれば絶滅の不安もなくなるように思いますが、現在の完全養殖はどのような状況でしょうか?

 ウナギを稚魚から育てる養殖の歴史は明治期まで遡り、そのノウハウ蓄積は多いものの、人工孵化して育てる完全養殖に関しては2010年にようやく研究レベルで成功した段階です。多くの人にとってウナギはもともと特別なときに食べるものだったはずですが、スーパーで売られるようになったり、牛丼チェーンで食べられるようになったりして身近なものになりました。そうした需要が高まってきた結果、完全養殖への研究の価値が高まって、近年により研究が進んだという側面もあるように思います。

 そうしたなかで実際、ウナギの完全養殖は技術的には可能になっていますが、一方でビジネス目的での完全養殖によるウナギの量産化はまだまだ難しい状態です。

 水産庁では2020年までにこれを実現することを目標に掲げていますが、完全養殖での量産化が難しい要因も、やはりウナギの生態がよく分かっていない点が起因してきます。当然ながら、これまで人為的に行っていなかった卵からシラスウナギになるまでの工程に難しさがあります。

 その中でもポイントとなる事柄の1つとして、例えば「餌」があります。ブリやマグロなど、他の魚の養殖でも大きなポイントとなることの1つが「餌」であったりしますが、ウナギの場合も同様です。安くてすぐに大きく育ち、味もよくなる良質な餌が開発されれば、養殖は量産化へと一気に向かう可能性が高いですが、まだ研究は試行錯誤の段階です。

 こうした点で課題が多いことからも、私たちが完全養殖のウナギを食べられるには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。