おいしいごはんは
「はじめチョロチョロ、中パッパ」

 釜でごはんを炊くと、人によって、あるいはその日の気温によって、お米が固くなったり柔らかくなったりします。

 しかし、炊飯器を使って指示どおりに米と水を入れてスイッチを押せば、誰にでも、いつでも、同じようにおいしいごはんが炊けます。

「ヒルトップ・システム」の基本概念は、「おいしいごはんをどう炊くか」と同じです。

 炊飯器を使えば、いつでもおいしいごはんが炊けるように、職人のノウハウをデジタル化すれば、いつでも、誰にでも、同じ製品がつくれます。

 炊飯器がなかった時代、かまど炊きごはんの火加減は、口承のひとつとして、

「はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いてもフタとるな」

 と受け継がれてきました(「はじめチョロチョロ、中パッパ、ブツブツいう頃火を引いて、ひと握りのわら燃やし、赤子泣いてもフタとるな」など、地域によっていろいろな言われ方があるようです)。

「はじめは余熱でムラなくお米に水分を吸収させ、その後、一気に強火にして沸騰させる。火加減を調節して沸騰を維持しながら炊き上げ、火を止める直前に『ひと握りのわら』を入れて燃やして余分な水分を追い出し、ごはんが水っぽくなるのを防ぐ。
 火を止めてからも、すぐにふたを取るのではなく、高温でしっかりと蒸らす」というごはんの炊き方は、五感や感覚に頼っているため、味にムラができやすい。
 また、始終、火加減を気にしなければいけないので、手間がかかります。