尾道をはじめとする備後地方は元々、デニム産業が盛んな地域だった。藍染で伝統的な技術があったからと見られている。

 しかし、カジュアル衣料専門店などで低価格のデニムが販売されている現在、製造コストの安い海外に、どんどんモノづくりが流れている。

 地域でも縫製など後継者が不足し始めており、技術が伝承されていかない懸念もある。こうした状況のなかでもう一度、日本のデニムが良さを知ってもらいたいという思いが込められている。

 いわば地域の産業を見つめ直して、新たな付加価値を与えて発信していくのがディスカバーリンクせとうちの狙いである。

 デニムはほかの服と違っていて、古着の市場がある。「使い込んだ味わい、古着の価値を感じてもらえるのがデニムの本質」(同)。海外ではビンテージデニムに数十万円という高値が付く。デニムにはそういう商品の特性がある。しかも新品のデニムも使い古したように加工して売っている。

 しかし、尾道デニムプロジェクトでは「フェイクではなく本物を作ろう。リアルユースのデニムを作ったらカッコイイのではないか」というのがプロジェクトの始まりだ。

ネットでは売らない
「この店に来ないと買えない」ことが必要

 デニムを履いてもらうに当たっては、「洗濯をしないで、ただ履いていればいいんでしょ」という人もいた。しかし、それではモノづくりにならない。

「私がこのデニムを育てている」という気概を持ってもらう。プロジェクトのことを最初にキチンと話をして「1年間頑張りましょう」といって始める。タグには履いていた人の職業が記載されているが、「1年間履いてもらった人にリスペクトを表しています」(同)。

 和田氏は「これでガンガン利益出すのは難しいですよ」と言う。1年で1人2本。100人に履いてもらっても年に200本しか商品化できない。