「自らの子育て経験を通じて、ワーク・ライフバランスには周りのサポートが不可欠であると気づいた」と語る岩根社長。制約の中で職場に生まれつつあるイノベーションとは。そして、目指している「新3K」とはどのようなものか。小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長との対談で、それらのすべてが明かされる。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)
周りのサポートが必要だと痛感
「子どもの弁当づくり」という原体験
小室 岩根社長の強い信念の元になっているワークとライフの体験はどこにあるのですか。
岩根 実は事情があり、約6年間にわたって子どもの弁当をつくり、土日はずっと食事を用意していました。そのとき、仕事面では本当に職場の皆さんが配慮してくれたんですよね。泊まりがけの出張に行けないときには代わってもらったりしていたので、会社の皆さんには本当に助けてもらったという感謝の気持ちがあります。
小室 だからブレない姿勢で、働き方改革に取り組まれたのですね。深く納得しました。その当時、そういった生活をしながら働いている男性の同僚って、ほとんどいなかったですよね。
岩根 そうですね。本当の意味でワーク・ライフバランスは周りがサポートしないとできないというのは、自分自身もよく実感しましたし、個人が家庭とどう向き合って会社がどうサポートしていくかというのは、非常に重要な課題だと痛感しました。
小室 限られた時間で働く人だけが感じる「憤り」ってあると思うんです。「今、この会議に本当にこんな多人数の出席が必要だろうか」「そんな資料、事前に各自が読んでくれば長々読み上げる必要ないだろう」とか……。周囲の人は時間に制約なくどこまでも残業できる人がスタンダードという中で、岩根社長はきっと生産性の高い仕事をするための工夫を追求してこられたんでしょうね。