前回は、人は直観的には統計学を使わないことが多いという話を書いた。

 「Aさんに子どもが2人いるとする。うち1人は女の子であることがわかっている。残りが男の子の可能性はどうだろうか」という問いについて、予想通り、やはり「2分の1」ではないのかという“疑念”を払拭できないという知人がいた。

 人は、自分の理解しやすい例でないと納得できないもののようだ。その知人は、最後には理解してくれたのだが、ご参考までに彼が自身で考えて納得できた考え方を紹介しておこう。

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 やっとわかりました。つまり、今、兄弟の1人が女(姉とも妹とも言っていない)だとわかった場合、「姉:弟」「兄:妹」「姉:妹」の3パターンがある。3つのうち、男が入っているのはいくつで、それは何分のいくつかを考えると、どんなにがんばっても3分の2以外にはならない、ということですね。

 これを特に口頭で聞くと、1人は女である → 女:○であると考え、○=女あるいは男以外には解はないから2分の1と考えてしまう訳ですね。女=姉(あるいは妹)と固定して考えず、ひっくり返して、○:女 ○=男あるいは女と考えれば、女:女は重複するので、総数は3になる。でも、ひっくり返して考える前に発想が止まっていました。
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云々というメールだった。

 しかし、納得がいかなければ、執拗に考え続けるということは、相場に限らず大事な習慣なのである。

「タクシー問題」の検証実験

 前回紹介した「タクシー問題」については、簡単な実験をしてみた。

 昨年から、一橋大学商学部で、「アセットマネジメント論」を講義している(2~4年生。また、他学部の学生も受講している)。講義といっても、自分での講義は少なくて、ゲストスピーカーを招いて講義していただいている。