東芝メモリが建設を開始した新たなフラッシュメモリー製造拠点の北上工場東芝メモリが建設を開始した新たなフラッシュメモリー製造拠点の北上工場。サムスン電子の投資減額で新たな判断が迫られる Photo:kyodonews

フラッシュメモリーの活況はピークアウトか

 半導体フラッシュメモリーの活況はピークアウトを迎えたのだろうか──。

 世界規模で半導体市場がバブル化する中、業界をけん引する韓国サムスン電子が2018年のNAND型フラッシュメモリーの投資計画を減額したことが分かった。

 半導体製造装置業界を中心に衝撃が走っており、英調査会社IHSマークイットは18年のサムスンのNAND型フラッシュメモリー投資額の予測を約30%も引き下げ、76億ドル(約8300億円)に下方修正した。17年の113億ドル(約1.2兆円)に比べても大幅な減額だ。

 世界半導体市場統計(WSTS)によると、17年の世界半導体市場規模は16年比22%増の4122億ドル(約45兆円)で過去最高だったが、その原動力がフラッシュメモリーだ。サムスンは巨額資金を三次元(3D)構造のメモリーを中心とする設備に投入し、17年の世界シェアを38.7%に引き上げて2位の東芝メモリの16.5%を突き放した。

 東芝メモリも、主力の四日市工場で3Dメモリーの設備投資を増強し、2ヵ所目の拠点となる北上新工場の建設を開始するなど、サムスンに対抗して投資額を増やしてきた。IHSによれば、17年の投資額は、協業する米ウエスタンデジタルとの合算で50億ドル(約5500億円)。18年もこの水準を維持するのか、それともサムスンに続いて投資を減額するのか、半導体業界全体が注視している。