日常的に「人を洞察する」

日常的に「人を洞察する」練習を積むこともできます。

例えば、スーパーで買い物をしているとき。売場で、人はどういう買い方をしているか?
缶チューハイ売場で、どういう商品をどのくらい見比べてから、かごに入れるか?それは、ビールの売場と比べてどうか?など。

そうすると、この50歳くらいの男性は、ストロング系の缶チューハイの中でしか商品を見比べていないので、アルコール度数が高いことが決め手らしい。でも、黒っぽいパッケージしか手に取らないので、これは「黒色」が高アルコールのシンボルになっているのか、あるいはスッキリ味を連想させているのか、などと推理を巡らせることができます。

また、ある40歳くらいの女性は、「果汁とお酒だけ」でできた缶チューハイのブランドだけをまとめて何本も買っていきました。他のブランドには見向きもしなかったので、このブランドを買うと最初から決めている、非常にロイヤリティの高い人だとわかります。

一方、ある30歳くらいの女性は、どのフルーツ味がおいしそうか、いろいろ手に取って見比べていました。そして、ブランドAの「桃」とブランドBの「パイン」をかごに入れたので、ブランドよりもフルーツの種類が決め手になったのだと思われます。

また、レジ前でも、「人を洞察する」練習ができます。
混み合ったレジに並ぶのは、あまり好きではなかったのですが、どういう人がどういうものをかごに入れているかを見て洞察をするようになってから、苦にならなくなりました。

例えば、かごの中身の傾向から、料理が得意な人だろうと推測できたりします。その一方で、かごの中身に矛盾を感じさせる人が多いのもおもしろいところ。インスタント加工食品とオーガニックな手作り素材の両方をかごに入れているのは、本人にとっては矛盾ではないのだろうか。食シーンで使い分けているのだろうか、といろいろ推測することができます。

スーパーでの買い物を例に取り上げましたが、電車の中でも、居酒屋の中でも、どこでも洞察することはできます。

例えば、電車の中。女性の口紅の色が赤くなってきたなど、定点観測的に変化が感じ取れます。スマホゲームは時間つぶしか、熱中してやるゲームか。ベビーカーがどれくらい車中で許容されているか、などなど。実にいろいろなことがわかります。

このように、普段から、観察力や洞察力を鍛えることができます。
まずは、「自分自身を洞察する」ことから。ぜひ、謎解き気分で、楽しくやってみてください。そのうち、意識しなくても、洞察できるようになります。そして、いつの間にか、マーケティングのセンスが良くなっている自分に気付くことでしょう。