こうした企業の登録者が、国内外の有識者、経営者団体、労働者団体と連携一体化しながら、「幸福経営」に関する各種のセミナー、ワークショップ、研究会、CHO育成研修などを積極的に開催しています。

3つの要因で国民的な関心ごとに

 フランスにおける幸福経営への関心は、企業関係者だけではなく、国民全体に広がる兆しを見せています。その背景には、前述のCHOへの関心の高まりに加え、主に3つの要因があります。

 1つは、従業員の幸せファースト経営を後押しするエコシステムの急速な発展です。様々な同分野の関連イベントや書籍はもとより、デジタル技術等を活用した「職場環境、働き方、福利厚生」に関するプラットフォームやコンテンツを開発提供するスタートアップ企業が急増しています。

 また、社員の幸せへの取り組みに着目した、企業のレーティング会社、投資ファンド、経営コンサルティング会社も出現しています。このように「Bonheur au travail (仕事の幸せ)」という言葉を見聞きする国民が増えるに従い、従業員の幸せファースト経営に対する関心が広がりつつあります。

 2つ目の要因は、メディアを通じ、従業員の幸せと組織パフォーマンスの関係についての調査研究報告を目にする国民が増えていることです。こうした報告には、「幸福度が高まると、生産性が12%向上(Daniel Sgroi、英ワ―ウィック大学、2015年)等の学術研究論文もあれば、「幸福度が高まると、離職者が75%減少、欠勤率が26%減少、生産性が20%向上、就職希望者が5倍に(ベルギー社会保障機関、2012年)等の企業の事例報告もあります。

 3つ目の要因は、行政、労働組合、民間企業などが、労働者に対し行う「仕事(職場)と幸せ」に関するアンケート調査の急増です。その調査対象となるか、またはメディアを通じてその結果を目にした人たちが職場で話題にすることで、この問題がより身近なものになりつつあります。