ギリシャがついに金融支援を卒業、欧州の火種再燃リスクは?
EUは8年以上にわたったギリシャへの金融支援を、8月下旬についに終了する。事後のセーフティネットは容易されているとはいえ、本当に大丈夫なのか Photo:PIXTA

ギリシャが金融支援を卒業
「寝た子」を起こしたくないEUの事情

 欧州連合(EU)は2015年8月よりギリシャに対して第三次金融支援を実施しているが、6月22日にルクセンブルクで開催されたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)での合意に基づき、この8月20日でそれを終了する。これによりギリシャは、8年以上にわたった金融支援から遂に卒業することになる。

 この金融支援からの卒業で、ギリシャは金融市場で国債をより発行し易くなる。またEUが認めた範囲のうちではあるものの、財政政策の裁量も回復する。そして何よりも、金融支援からの卒業はギリシャ国民の自信の回復につながる。一方でEU側も、これまでの支援に区切りをつけることができる。

 なお、6月のユーログループでは、ギリシャに対して債務負担の軽減策を実施することでも各国が合意に達した。具体的には、第二次金融支援(12年3月~15年6月)の下でEUから提供された969億ユーロ(約12.6兆円)相当の融資の返済が、利払いも含めて10年間繰り延べられることになった。

 またユーログループは、32年に上記の合意に関する見直しを行い、場合によっては追加的な債務負担の軽減策を実施することでも一致した。さらに、ギリシャが想定外に厳しい景気後退に陥るなどして財政再建が困難になった場合も、ユーログループは追加的な債務負担軽減を検討する方針である。

 EUと共にギリシャへの金融支援を実施してきた国際通貨基金(IMF)は、2015年頃から、これまでの金融支援でギリシャが抱えることになった膨大な債務を減免する必要性があると主張し続けてきた。他方でEUは、債務の減免には一貫して否定的な態度をとってきた。ドイツなど支援側の世論に配慮していたためである。

 ユーログループで合意した軽減策は、あくまでギリシャの債務負担を軽くするものであり、債務そのものを減らすものではない。しかしながら、その軽減策がこれまでになく本格的な救済措置であったことも確かであり、EUはギリシャに相当程度歩み寄ったと評価できる。