視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
ニューヨークにも
「行列ができるラーメン屋」が続々登場
海外に長く滞在していると、たまに無性に日本食が恋しくなる――出張の多い日本のビジネスパーソンや海外旅行好きの人からよく聞かれる言葉だ。
私も十数年前には米国のニューヨークに出張する機会が多かったので、その気持ちはわかる。
ニューヨークでは、本場のステーキをはじめ、イタリアンやフレンチなど世界中の美味しい料理が食べられる。だが、3日もするとそれらには飽きてしまう。
そんな時には、当時5番街近くに1軒だけあったラーメン屋によく行ったものだ。日本のあるラーメン店の支店で、客のほとんどは日本人だった。
ところが今、ニューヨークにラーメンブームが起きているというから驚きだ。
2008年にとんこつラーメンの「博多一風堂」が、ニューヨークに「IPPUDO NY」をオープン。それがブームのきっかけになり、今や専門店だけで100軒ほどがひしめいている。
日本の人気店のように長い行列ができる店もあるそうだ。日本人だけでなく、現地の人や米国および世界各国からの観光客が並んでいるという。
ニューヨークだけではない。ロサンゼルスなど他の米国都市、ロンドン、パリ、ドイツのデュッセルドルフなどでもラーメンはブームになっている。
2013年に「和食」がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたのも、ブームの追い風になったに違いない。
ちなみにラーメンを和食と呼ぶのに抵抗があるかもしれないが、もはや中華料理とは別物に進化した日本のラーメンは、他国の人からみれば立派な和食だ。ある調査結果によれば、寿司に次いで人気のある和食にラーメンが挙がっているという。