もちろん、証券会社や信託銀行が力を入れているサービスを「最悪」と言うからには、根拠がある。(1)ラップ自体の手数料が高く、(2)中身に選ばれるファンドでもぶ厚い手数料が掛かり、(3)そもそも証券会社や投資顧問会社に顧客にとって適切な運用を考える能力も(たぶん、その気持ちも)なく、しかも、(4)顧客の側では「任せた」という気持ちで運用の把握が劣化するから、「最悪」だと申し上げている。絶対にやめてほしい。

 明らかにダメな運用サービスに取り込まれそうな人を見つけたのに、一声掛けないのは、人道にもとるというものだろう。

 なお、アドバイスは筆者側からの一方通行の返信で無償である。筆者が勤務する楽天証券に資産を誘導することもしていない。FAXで相談してくる80代の相談者にネット証券の利用はハードルが高そうだ。今回は、対面型の金融機関を利用することを前提に、どうしたらいいかを考えた。

前提条件は3つ

 今回のご夫婦のように後期高齢者で、そこそこの金融資産があり、この金融資産の扱い方に困っている方は多いのではないか。加えて、数千万円単位の資産は、既に金融機関のアプローチを受けて、何らかの運用が行われている公算が大きい。放っておいてはくれない場合が多いだろう。そして、現状に安心できなかったり、結果や経過に不満足であったりするケースが少なくあるまい。

 こうした方々は、以下の3点をはっきりさせてから問題の解決に動いてほしい。具体的な解決方法は後で説明するので、後はその通りに実行してくれたらいい。

 確認すべき前提条件は、

(1)金融資産の総額と、1年間に取り崩すことができる金額はいくらか
(2)金融資産をどういった金融機関で取引・運用したいか
(3)リスクを取ってお金を増やしたいと思うか

 の3点だ。

 1年間に取り崩すことのできる金額は、総資産額から最晩年に残しておきたい金額(介護施設の入居費や家族に残したい金額など)を差し引いて、その残額を平均余命に10年くらい(できれば15年)足した年数で割った金額だ。

 例えば、ご夫婦が4000万円持っていて、最晩年に1000万円残しておきたいと考えるなら、年下の奥様の余命を20年(100歳)と見積もって、年間150万円の資産を取り崩して使うことができる。基本的には年金と、この取り崩し額の範囲内で暮らすべきであり、それが「分相応」だと理解すべきだ。それ以上使って晩年に苦しくなっても、誰も助けてくれない。