しかし、本来、新しい商品やサービスの開発は、次世代の飯の種となるはず。四半期や1年後では結果が出ない投資だってあるはずだ。それでも、PL脳の企業では未来への投資がいとも簡単に削減されてしまう。

 米アマゾンや米アップルといった成長を続ける企業は、PLの良しあしにこだわらず、積極的に開発費を投じている。PL脳に毒された日本企業とは正反対なのだ。

 しかし、光明はある。PL脳という罪深い病状への処方箋、ファイナンス思考だ。

PL脳への処方箋
「ファイナンス思考」とは?

 企業とお金の関係を示す単語として、「経理」「会計」「財務」「ファイナンス」という言葉がある。複数あってややこしいのだが、PLは「経理」「会計」というジャンルに属していて、「ファイナンス」の世界とは分かれている。

 前出の松田教授は「お金を使った後に“記録”するのが経理や会計。その情報を基に、ある事業を進めるにはどれくらいお金が掛かるのか、どう進めるべきかが分かるのがファイナンス」と解説する。

 つまり、会計は過去、ファイナンスは未来のためにあるのだ。

 一方、朝倉氏は、ファイナンスを以下のように定義付けている。

 会社の企業価値を最大化するために、

・事業に必要なお金を外部から最適なバランスと条件で調達し(外部からの資金調達)、
・既存の事業・資産から最大限にお金を創出し(資金の創出)、
・築いた資産(お金を含む)を事業構築のための新規投資や株主・債権者への還元に最適に分配し(資産の最適配分)、
・その経緯の合理性と意思をステークホルダーに説明する(ステークホルダー・コミュニケーション)

 という一連の活動だ。

 その上で、単に会社が目先でより多くのお金を得ようとするための考え方ではなく、将来に稼ぐと期待できるお金の総額を最大化しようとする発想とも述べる。