女子体操のパワハラ騒動は、日本体操協会が弁護士5人による第三者委員会を設置し、真相解明と問題解決に向けて動き始めた。

 女子体操界が選手ファーストの組織に生まれ変われるかは第三者委の調査に委ねられることになったわけだが、今回の騒動で浮き彫りになったのが、指導者と選手の外部からはうかがい知れない結びつきと指導者同士に潜在する対立だ。

コーチ側の主張は
「選手だけ引き抜こうとした」

体操パワハラ問題は、ジュニア指導者に日が当たらないことも一因のようです。
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 協会幹部である塚原夫妻のパワハラを告発した宮川紗江選手は、小学5年の時から速見佑斗コーチの指導を受けてきたという。その指導に暴力があったことが今回の騒動が起こったきっかけになった。その映像を見たが、確かにその暴力は目に余るものだ。

 ところが驚いたことに、宮川選手はもとより両親もその指導を受け入れており、今後もコーチを続けてほしいと思っているという。「自分をトップレベルまで成長させてくれたのは速見コーチ」という思いが強いのだろう。

 一方、速見コーチは会見で暴力を振るったことを反省し謝罪しながらも、塚原夫妻が運営する朝日生命体操クラブへ師弟セットでの引き抜きがあったと証言した。そうなれば自分流の指導ができなくなるとの思いから誘いを断り続けたところ、暴力的指導を問題視して無期限登録抹消の処分。宮川選手だけを引き抜こうとしたと主張したのだ。

 塚原夫妻側は引き抜きとその間にあったとされるパワハラは否定しており、真偽は調査結果を待つしかないが、暴力・パワハラは別として、どの競技でも指導者間の有望選手の取り合いはよくあることだ。