今度は体操協会で「内部告発」
なぜ古い体質はなくならないのか
今度は日本体操協会の体質にメスが入った。
東京オリンピックが2年後に迫る今年、競技団体の強権的な古い体質に対する選手や指導者など現場からの告発が相次いでいる。
日本レスリング協会、日本ボクシング連盟、また五輪競技ではなく競技団体でもないが、日本大学アメリカンフットボール部で起きた悪質タックル問題は“上の命令は絶対”という、日本特有の体育会的体質が温存されていることを世間に知らしめた。
そして今回、俎上に載ったのが体操協会だ。発端はリオ五輪代表の一員として4位入賞に貢献した宮川紗江選手(18)のコーチ、速見佑斗氏が宮川選手に対し、暴力的指導を行っているという通報。協会が速見コーチに聞き取り調査を行ったところ暴力行為を認めたため、無期限登録抹消の重い処分を下した。
すると今度は宮川選手が記者会見を行い、通報から処分までの流れは自分と速見コーチを引き離すために行われたことで、選手に対してパワハラを行なっているのは協会幹部の方だと訴えた。この幹部に当たる塚原千恵子強化本部長は当初反論し、全面対決の姿勢を取っていたが、世間の批判的反応を察知したのか、3日後には一転して謝罪。この真意を含め今、多くの人が騒動の行方を見守っている。
日本のお家芸とも言われているのが体操だ。一時期低迷していたが、2004年アテネ五輪で男子団体が金メダルを獲得し、その後も男子は内村航平らの活躍もあって世界のトップに復活。また、女子も上昇ムードにある。傍からは選手ファーストの良い運営が行われている団体に見えていたが、この問題が表に出て以降、選手・関係者サイドから協会のパワハラは存在するという証言が相次いだ。強権的な体質が根強く残っているという点で体操界も例外ではなかったわけだ。