「正面」のない教室で柔軟に学ぶ
新学習指導要領とも親和性は高い

「2つの学習活動は、互いに無関係ではありません。ブロックアワーで学んだ知識を活かしてワールドオリエンテーションの課題に取り組んだり、逆に、ワールドオリエンテーションの中で生まれた問いを深めるためにブロックアワーで知識を得たりという具合に、相互の行き来の中で学びを深めていきます」

 こうした学習活動を展開する場として、教室のつくりも特徴的だ。一斉講義型の授業を想定していないため、「正面」は存在しない。サークルになって話すことのできる場所や、グループで作業する場所、1人で静かに学習する場所などがあり、周囲にはさまざまな教材やプリント類を配置。席に固定させるのではなく、個人、グループ、全体とフレキシブルに動きながら学べるよう工夫されている。

「教室は子どもたちにとって安心で居心地の良い『リビングルーム』として設計しています。ここで子どもたちが安心して過ごせ、言いたいことが言い合える、安心安全の場であることを大切にしています」

 同校での生活は、「全員が正面を向いて教師の話を聞いている」という、多くの人が抱く学校のイメージとはだいぶ異なりそうだ。

「イエナプラン教育は、従来型の教育とは異なる特徴があることは確かです。しかし、そんな日本の教育も変わろうとしているなか、その方向性とイエナプラン教育は親和性が高いと感じています。平成29年告示の新学習指導要領では、知識の習得だけでなく思考力、判断力、表現力等を含めてバランスよく育成することを目指し、授業改善や課題探究型学習などの推進を求めており、その傾向はいっそう強まったのではないでしょうか。本校の実践イエナプラン教育の特徴を効果的に出しつつ、あくまで日本の小学校としてのカリキュラムを作成して取り組んでいきます」

 新学習指導要領と親和性があるイエナプラン教育のコンセプトは、既存の学校の中に取り入れることもできるのではないだろうか。日本初のイエナプランスクールの実践が、今後どう広がっていくか注目していきたい。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))