2008年以来、新たな「リーマン・ショック」をかぎつけることが国際市場ウォッチャーの趣味のようになってきた。直近ではインドでそれらしい場面があった。同国政府は今週、インフラ融資を手掛けるインフラストラクチャー・リーシング・アンド・フィナンシャル・サービシズ(IL&FS)の全取締役を急ぎ解任した。規制当局がシステム上重要だとみなしてきたノンバンクのIL&FSがデフォルト(債務不履行)を連発し、インドの市場はこのところ大混乱に陥っていた。この話はインドの金融システム崩壊の予兆とは違うかもしれない。だがその現状について、新しい、そして深刻な疑問を投げかけている。IL&FSの中心的な問題は、典型的な資産と負債のミスマッチだ。同社によるインフラプロジェクト投資の返済期間は長いが、調達資金面ではコマーシャルペーパー(CP)などの短期調達手段に対する依存度が高まっている。一部のプロジェクトは問題を抱えており、政府によるとIL&FSが得るはずの収入の半分ほどは法的争いで凍結状態だ。そのため同社は126億ドルに上る債務の返済で苦戦している。このうち約5億ドルは向こう6カ月に返済期限を迎える債務だ。
インドの金融システムに潜む深刻な問題
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