中国産業ミスマッチの実情、工場は地方へ労働者は都市へ写真はイメージです Photo:PIXTA

梧州市は水上運送の要所で
物資の集散センターに

 しばらく前、深センで電子製品製造企業を経営する友人から、視察の同行を頼まれた。視察先は、広西チワン族自治区の梧州市。広西はここ十数年訪問していないので、知識の更新も必要だと考えて、友人の要請に応じることにした。

 さらに、中国出張の機会を利用して友人たちと広州で合流し、広東省に一番近い広西の町・梧州市を初めて訪問した。

 ご存じのように、広い中国を見る場合は、大抵4つのブロックに分けてチェックする。「東部」「中部」「西部」「東北部」の4つだ。

 東部は「沿海部」とも呼ばれる。海に接する河北、遼寧、江蘇、浙江、福建、山東、広東、海南と、北京、天津、上海の11の省(市)からなり、全国土の約10%を占める。

 ところが、北部湾(トンキン湾)に接する広西は、防城港、北海港、欽州港、鉄山港などの港があるが、前述した沿海部には入っていない。逆に北京は海と接していないが、東部のメンバーとして見なされている。

 つまり沿海部のメンバーになるには、海に接するという地理的な条件のほかに、その地域の経済力も判断材料とされる。だから広西は、地理的には海に接していながら、経済が立ち遅れる西部に分類されるというわけだ。