おそらく多くの日本人は、広西のことをあまりご存じではないと思う。しかし、日本で知られる桂林は、広西にある。

 友人と一緒に訪れた梧州市は、広西東部の重要な工業・商業都市。内陸河川を利用した水上運送の要所であり、香港とは水運でつながっているため、おのずと物資の集散センターにもなっている。造船、化学工業、軽工業紡績といった産業は盛んだが、広東省に一番近い町という利点以外に、アピールできるところはあまりなさそうだ。

 私が顧問を務める時計メーカーのシチズンは、日系企業として一早く進出、電子部品の製造・組み立て工場を持っている。やはり、労働力の豊富さと安さが一番の取りえのようだ。友人もそこに目をつけたのだ。

東部と西部の地域を合わせ
経済レベルの向上を図る

 しかし梧州は、2014年から「粤桂合作特别試験区」と指定された。粤桂とは、広東(略称は粤)と広西(略称は桂)のことを言う。それぞれ隣接する50平方キロメートルの土地を足して、東部と西部の合作地域として作られたエリアだ。

 中国政府の狙いは、西部に属する広西の経済レベルを、こうした交流を通して高めたいという点にある。土地資源や労働力資源を求める広東と、経済先進地域との融合を狙う広西もそこにメリットを見いだし、積極的に取り組んでいる。それは、私たちの視察に市政府の主要責任者がずっと伴っていることからも、企業誘致の熱心さを感じることができた。

 梧州市を回ってみたが、全体の印象は20年前の長江デルタにある地方都市のような感じだ。中国版新幹線である高速鉄道が開通しているが、日本の「こだま」のような「動車」しか走っていない。しかも、その乗車券がなかなか入手できないのが泣き所だ。深センから車で移動するには5時間もかかる。

 地元の特産としては、「六堡茶」が印象的。プーアール茶と同じ黒茶に属する発酵茶で、高アルカリ性でミネラル、ビタミンなどの成分が多く含まれていると言われる。黒茶というが、色はチャイナレッドと表現されるきれいな紅茶の色だ。