「債券利回りの上昇」には「株式市場の刺客」に似た響きがある。株の投資家にとって朗報なのは、株式市場全般は大丈夫とも考えられることだ。問題は株式指数の上昇を主導してきたFANGなどの銘柄にある。米国債の利回り上昇は加速してきたが、それは悪性の上昇だ。景気が上向き金利が上昇するとの予想ではなく、不透明感の増幅が主因なのだから。株式投資家にとっては幸いなことに、トラブルはおおむね変革的なハイテク大手に限られており、広範な現象ではない。債券利回りの上昇は急速であり、犠牲を生んでいる。今年10年物米国債を保有していた投資家は、先週末までに5.8%を失ったことになる(利息の再投資を含む)。このことは先週まで、S&P500種株価指数には問題ではなかった。だが直近の債券利回り上昇(2016年の選挙以降の4日間で最大)は株の打撃になった。一部の臆測に反して、景気改善と金利上昇が原因ではなかったからだ。