日本にとって束の間の休息
同盟国の正念場はこれから

 中間選挙後に保護主義が再起動されると考える3つ目の理由は、今後の交渉スケジュールである。EUや日本の場合、現在までに米国との間で合意されたのは、協議の開始に過ぎない。実際に協議が本格化するのは、来年以降になると見られる。次第に大統領選挙が近づくなかで、再び緊張が高まりかねない時間帯である。

 そこでもカギを握るのは、中国との関係になりそうだ。米国が同盟国を巻き込んで対中戦線を再構築しようとしているのであれば、日本やEUに厳しい対中政策への同調を求めてきても不思議ではない。

 気になる前例が、USMCAに盛り込まれている。USMCAには、カナダやメキシコに、中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶことを思いとどまらせようとする条項がある。北米地域の協定であるUSMCAですら、米国の射程には中国がしっかりと入っている証左である。

 USMCAでは、加盟国が「非市場経済国」とFTAを結ぼうとする場合には、事前に他の加盟国に通知する必要がある。そして、通知を受けた国には、USMCAから脱退し、2ヵ国間の協定に切り替える選択肢が与えられている。「非市場経済国」というだけで明記されてはいないが、ライトハイザー米通商代表は、中国を想定した条項であることを認めている。

 今後の展開次第では、日本やEUも、好むと好まざるとにかかわらず、米中摩擦に巻き込まれていきかねない。実際に、ロス商務長官は、日本やEUとの貿易協定に関して、非市場経済国とのFTA締結を阻止するUSMCA類似の条項を盛り込む意欲を表明している。また米国では、技術移転を防ぐために、ハイテク製品などの対中輸出を規制しようとする動きがある。今後の展開によっては、EUや日本からの対中輸出にも、そうした規制への協力を求められる可能性もありそうだ。

 EUや日本は、米国を国際的な自由貿易の枠組みに引き留める狙いから、問題意識を同じくする部分においては、対中政策でも歩調を合わせる方針を明らかにしている。しかし、それが米中摩擦の激化に加担する結果につながるとすれば、決して本意ではないはずだ。

 日本やEUにとって中間選挙は、束の間の休息に過ぎない。米国との正念場は、中間選挙に保護主義が再起動された後に訪れる。