英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、外から見ている人間にとっては延々と続くメロドラマのような感がある。どんでん返しはあるわ、悲劇的な人物は登場するわで見る分には面白いが、英国人以外にとっては大して重要ではない。だがそんなふうに油断するのは間違いだ。この70年間で主要先進国が自由貿易圏を離脱したことは一度もない。ブレグジットは、グローバル化という複雑な結びつきをリセットすればどのような対価を支払うことになるか、現実として初めてわれわれに突き付けている。もちろんブレグジットは脱グローバル化の例としては極端ではある。モノ、サービス、資本、労働の自由な移動を保障するEUの単一市場より統合が進んだ自由貿易圏は他にはない。それでも規制や貿易に関する罰則、移民などの分野で英国と貿易相手国の間に設置される障壁の多くは、米国と貿易相手国の間など世界で出現している障壁とそれほど変わらない。