世界の2大経済大国が緊張状態にあるとき、大型買収の行方に注目する投資家が不安を感じるのは当然のことだろう。米国企業しかかかわっていないにもかかわらず中国の独占禁止当局の承認を必要とする2つの大型買収に対して、市場が警戒感を抱いているのはそのためだ。機関投資家向け助言サービス会社のチャーチル・キャピタルによると、投資家は米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが710億ドルで21世紀フォックスの娯楽資産を取得する取引が完了しない可能性について、約43%の確率で織り込んでいるという。これはほぼ半々の確率だ。現在、中国の官僚が審査している米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)による230億ドルでの米航空通信システム大手ロックウェル・コリンズの買収の行方についても懸念が高まっている。