一方の米国側も中国の産業政策、貿易政策、知的財産、南シナ海問題、台湾問題、そして米国のメディア、シンクタンク、大学、政治、市民社会などへの官民一体・挙国一致的な“浸透”政策を見逃すつもりは毛頭ないようで、中国に対してしかるべき圧力、制裁を科していくものと思われる。

 来月行われる米国の中間選挙を経て程度や雰囲気の次元で何らかの変化は生じるのかもしれないが、米中間の“戦略的競争関係”はトランプ大統領・政権という次元を超えて長期化する、そしてその最大の要因は“中華民族の偉大なる復興”というチャイナ・ドリームを掲げ、政治力、軍事力、外交力、経済力を含め総合的に“世界の中心”へ登り詰めることを明確な目標とし、そのために現在“中国の特色あるソフトパワー”を世界の各地、各分野で行使している習近平政権の国家戦略にあると筆者は考えている。

 党の“核心”である習近平が、今年3月の全国人民代表大会で憲法を改正し、国家主席の任期が撤廃され、少なくとも制度・理論的には名実ともに、いつまでも中国の最高指導者に居座ることができるようになった昨今においてはなおさらである。

 米中関係が構造的に悪化している副作用として、米中外交安全保障対話、中国側で経済貿易政策を担当する担当者らの訪米などが延期されている。筆者自身は、このような状況が続く中、米中両国が国交正常化40周年に当たる来年の1月1日をどのように迎えるのかに注目している。

日米同盟に“ヒビ”を入れ
日本を“取り込もう”という思惑?

 世紀のライバルである米国との関係が悪化する中、そして多国間主義、自由貿易システム、グローバリゼーションなどに消極的な姿勢を見せるトランプ政権の政策に先進国、新興国、途上国を問わず国際社会全体が翻弄(ほんろう)される中、中国として米国の同盟国であり、世界第3位の経済大国である隣国日本に“接近”し、あわよくば日米同盟に“ヒビ”を入れ、日本を中国側に“取り込もう”という思惑が働いても、いささかも不思議ではないといえる。

 拙書『日本夢 ジャパンドリーム:アメリカと中国の間で取るべき日本の戦略』(晶文社)の共著者である劉明福・中国人民解放軍上級大佐が主張するように、中国国内には、官民、文官か軍人かを問わず、「日中関係が悪いのは米国が裏でそう操作しているからだ」「日本が米国との同盟関係を破棄して日中関係は初めて根本的に改善され、アジアに安定と平和がもたらされる」という類の見方は根強いと感じている。