1年でトップが辞任に追い込まれ、混乱を極める米ゼネラル・エレクトリック(GE)とは対照的に、独シーメンスの業績が堅調だ。GEの後塵を拝したと思われたデジタル化で、強みが顕在化しつつある。
2017年度に巨額赤字を計上するなど、製造業の雄である米ゼネラル・エレクトリック(GE)が混乱を極めている。それとは対照的に、同社と火力発電事業で肩を並べるドイツ最大の電機メーカー、シーメンスの存在感が増している。
5年前、ジョー・ケーザー氏が社長兼CEOに就任した直後の13年度の決算で7%台に沈んでいた利益率が、17年度には10%まで回復(図1)。株価も堅調なのだ。
好調の理由は、組織改編による意思決定の迅速化や大規模な人員の入れ替えによるところが大きい。ただ、「(イソップ寓話の)『うさぎとかめ』のようなものだ」と、藤田研一・シーメンス日本法人社長兼CEOが独特の表現でGEと比較するように、シーメンスの着実なデジタル化も見過ごせない。
ハードウエア企業によるデジタルサービスの充実では、巨額の資金を投じるGEが先行していたはずだった。しかし、産業用IoT(モノのインターネット)プラットホーム「Predix」は鳴かず飛ばずで、いまやその開発を担うGEデジタルには売却の可能性すらささやかれる。