独シーメンスの稼ぎ頭だったヘルスケア部門は2018年3月に独立経営の事業会社として上場した。コングロマリットの鎖から解き放たれ身軽になった医療機器の世界メガは、ヘルステックをめぐるM&A、提携で攻勢をかけていく。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/医療産業エリート大争奪戦」の拡大版として、産業のキーマンたちのインタビューを特別連載でお届けする。第4回は独シーメンスのヘルスケア事業会社日本法人、シーメンスヘルスケアの森秀顕社長兼CEO(最高経営責任者)に聞く。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――今春立ち上げたデジタルサービス事業部は何をするんですか?

ヘルステックをめぐるM&Aや提携で攻勢をかけていく独シーメンスのヘルスケア事業会社日本法人、シーメンスヘルスケア森秀顕社長兼CEO森 秀顕・シーメンスヘルスケア社長兼CEO Photo by Masato Kato

 もともとはPACS(診断装置で撮った画像データをネットワークで受信して保管・管理する医療用画像情報システム)などを扱う事業本部の一部門でしたが、コンベンショナルなビジネスから切り離して事業部に格上げしました。新たなデジタルサービスを展開していきます。

――新たなデジタルサービスとは?

 核となるのが「デジタルエコシステム」と呼んでいるプラットホームです。

――医療機関やさまざまな機器・サービスとその企業、さらには患者、自治体なりがデジタルでつながって医療情報データを管理・活用するプラットホームですね。シーメンスヘルスケアだけでなく、医療機器メーカー各社が病院内にある装置などをIOT(モノのインターネット)でつなげてデータを活用するビジネスの拡大を狙っています。

 結局はコンテンツ勝負になりますよ。どれだけ実際に使えるコンテンツを用意できるかにかかっています。プラットホームがあっても、ソフトがたいしたことなかったら誰も使いませんから。

 うちはいろいろな会社と提携して、そこのソフトウェアをプラットホーム上で使えるようにします。