秦(しん)の始皇帝陵に副葬品として埋められた「兵馬俑(へいばよう)」で知られる古都、西安は今や、中国の現代的な戦いの最前線に陣取っている。それは高度な技能をもつ働き手の争奪戦だ。中国経済が減速するなか、西安など数十の中規模都市が、北京や上海などの巨大都市の大学出身者を引きつけ、エンジニアや科学者、企業経営者などを呼び込む取り組みを加速させている。高い住居費や交通渋滞、大気汚染など都市生活者が抱える不満につけ込み、エリート層の移住を促すために、中規模都市は現金支給や生活費補助、手厚い住宅助成金といった大胆な策を打ち出している。さらにこれらの都市は「戸口(フコウ)」と呼ばれる戸籍制度で、すぐに都市住民の資格を取得できると約束している。そうすれば、多くの中国人が繁栄の証しと考える住居をはじめ、社会的にも資金の面でもさまざまな優遇を受けられる。
中国の人材争奪戦、都市間でヒートアップ
中規模都市の西安や武漢、巨大都市出身のエリート人材集めにあの手この手
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