「食事は、家族で楽しく会話しながら、にこやかに過ごすことが大事です。美味しいものを食べて不機嫌になる人はいないし、お腹が満たされたら心も満足します。食事をそういう時間に使ってほしいのです」

 子どもが小さいと、大きくなってから偏食にならないように、恥をかかないように、と食事中に好き嫌いやマナーを注意したりすることも多いかもしれません。でも、本来楽しいはずの家族の大切な時間に怒られることが続いたり、恐怖の時間になることは、「自分はだめなんだ」と自己肯定感を下げたり非認知能力を妨げるリスクもはらむといいます。

「無理して嫌いなものを食べなくても大丈夫。人参がだめならかぼちゃでもいい。不足しそうな栄養は他の食品から取ることを考えて。だって、ピーマン食べられなかったら死ぬわけでもないでしょ?(笑)」

 娘のスカイさんは3歳からはじめたバレエに打ち込みながら「知力・表現力・コミュニケーション力」などを競う「全米最優秀女子高生コンテスト」で優勝し、コロンビア大学に進学していますが、ボークさんは「勉強をしなさい」と言ったことは一度もないといいます。

 ボークさんが整えたのは、「やりたいこと」「好きなこと」「得意なこと」に使う時間、つまり、子どもがポジティブになれる時間を増やせるような環境。

 例えば、バレエの舞台で欲しかった役がもらえなかった…。そういうときはスカイさんも当然落ち込みます。そんなときには、「スカイちゃんのパンケーキが食べたいな」と声をかけていたそうです。

「スカイは、何も見なくても、とっても上手にパンケーキが作れるの。何かうまくいかないとき、それだけに気を取られずに、“自分にはちゃんとできることがある”ということを実感すると、リカバリーできるのよ。小さい頃はそのきっかけを作っていたけれど、今はもう、自分でそれができるわ」

 どんなに学校の教育がすばらしかったとしてもそれだけではだめ、家庭というコミュニティーの影響力は大きい、とボークさんは考えています。子どものロールモデルになれるような生き方をしているか。いきなりそこから考えるのはタフですし、すぐ改善もできないことも多いかもしれません。まずは、子どもの手本となるような食べ方をしているか、私もそこから見直して見たいと思います。

(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)