米国による対イラン制裁が再開されるという見通しから、原油価格は先月、ここ数年の高値まで上昇したが、イランの供給に代わる原油の生産や、世界経済の減速による需要の成長鈍化を背景に、原油価格は再び下落する可能性がある。インフレ率が上昇し始めた今、原油価格の低下は米国の消費者や企業にとって好都合かもしれない。インフレ調整後の家計所得が増え、エネルギー消費企業の利益率が拡大するからだ。しかし、米国経済の重要な推進力となってきた米エネルギー生産業者にとっては痛手となる可能性がある。先月初め、国際石油取引の指標油種であるブレント原油先物が4年ぶりの高値、1バレル=86ドル前後にまで上昇した。貨物調査会社「Kpler」によると、米国による制裁再開が近づいたことで、10月のイランの原油とコンデンセート(超軽質原油)の輸出量は6月の日量266万バレルから174万バレルにまで落ち込んだという。イランからの輸入量が減少したことで、米国の指標油種ウエスト・テキサス・インターメディエイト(WTI)先物は約4年ぶりの高値、1バレル=76ドル前後に上昇した。