米国オリンピック委員会(USOC)は5日、同国体操連盟(USAG)から統括組織としての地位を剥奪する作業に着手した。体操女子代表チームドクターだったラリー・ナサール受刑者による性的虐待スキャンダル以降2年にわたり混乱が続いた後の異例の措置となる。体操連盟は事件後も信頼回復を目指し続け、五輪委も地位剥奪の措置は避けていた。ナサール受刑者は治療と称して数百人のアスリートを性的に虐待した容疑で起訴され、性的暴行罪や児童ポルノに関する法律に違反したことを認めた。現在は終身刑を受け連邦刑務所に収監されている。五輪委のサラ・ハーシュランド最高経営責任者(CEO)は5日に公開した書簡の中で、「なぜ今なのか、と思うかもしれないが、単純に言えば、組織が現在の体制のままでこれからの課題を乗り越えることは不可能だと判断したのが理由だ」との考えを明かした。また「新たなUSAGを支えるためここ数カ月は緊密に作業してきたが、その熱心な努力にもかかわらず、(USAGは統括組織として)今も苦戦している」とも続けた。