マーケティングの専門家として第一線で活躍する山口義宏氏が一読して大絶賛したのが、11万部を突破したベストセラー『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(以下、『錯覚資産本』)でした。
その著者、ふろむだ氏は経歴の詳細を明かさず完全に匿名で活動しています。しかし、「超一流マーケッターの山口さんとなら、ぜひ」ということで、チャットでの対談が実現しました。
今回より、2人の対話から導きだされた、「これから台頭する人・落ちぶれる人の条件」について、全6回の記事でお送りします。
ほぼ確実に起きる4つの変化
数々の大手企業のマーケティング&ブランディング案件を手がける、(株)インサイトフォースの代表取締役社長・山口義宏さんと、『錯覚資産本』の著者ふろむだが、チャット対談を行った。
対談をオーガナイズしてくださったのは、編集者の横田大樹さん。Amazon1位(マーケティング)となった山口さんのヒット作『マーケティングの仕事と年収のリアル』は横田さんチームが手がけたものだし、ふろむだの『錯覚資産本』も横田さんの担当だ。
この記事は、その対談の要点を、ふろむだが記事の形でまとめたものになる。
ふろむだは、複数の企業を創業し、そのうち1社は上場している。マーケを専業でやってきたわけではないが、マーケの仕事もかなりやってきた。
なので、次の点に興味がある。
◆今後、どのようなマーケ人材が活躍し、どのようなマーケ人材が落ちぶれていくか?
◆その明暗を分けるものが何か?
そこで、自分の考えをマーケの専門家の山口さんにぶつけて、どう思うか聞いてみるとともに、マーケ人材市場が今後どうなっていくかについて、お話を伺った。
ただ、結果として、対談の7割は、マーケ職以外の人にとってもクリティカルな問題について話し合われたため、タイトルをマーケ職以外の人も対象とするようなものにした。記事内容も、マーケ職以外の人が読んでも面白く読めるようなものになっている。
長い対談の末に、マーケ人材市場の未来について2人の見解が一致したのが、次の4点だ。
(1)「原因特定解像度×サイクル長」の変化でマーケ人材の「知の高速道路」ができ、マーケ人材市場に相転移が起きる。
(2)クリエイティブ・マーケと定量マーケの両方の能力を兼ね備え、それらを統合してマーケティング業務を行うマーケ人材が台頭する。
(3)マーケティング業務だけの部分最適を行うのではなく、経営者のように、会社全体を把握し、全体最適のマーケティングを行う人材が台頭する。
(4)日本市場の縮小とともに、日本市場に特化したハイコンテクスト・マーケよりも、グローバルに展開するためのローコンテクスト・マーケの需要が高まる。
次回以降、これらを以下のタイトルと予定で詳細に解説していくので、楽しみにしていただきたい。
【対談1】
「知の高速道路」によって起きる人材市場の相転移(上)11/22 公開
【対談2】
「知の高速道路」によって起きる人材市場の相転移(下)11/24公開
【対談3】
これからクリエイティブ・マーケと定量マーケの両方の能力を兼ね備えた人材が誕生する 11/27 公開
【対談4】
部分最適ではなく、全体最適のマーケティングを行う人材が台頭する 11/29公開
【対談5】
落ちぶれるハイコンテクスト人材、台頭するローコンテクスト人材 12/1公開(続)
インサイトフォース代表取締役
東証一部上場メーカー子会社で戦略コンサルティング事業の事業部長、東証一部上場コンサルティング会社でブランドコンサルティングのデリバリー統括などを経て、2010年にブランド・マーケティング領域支援に特化した戦略コンサルティングファームのインサイトフォース設立。大手企業を中心にこれまで100社以上の戦略コンサルティングに従事している。近著に『マーケティングの仕事と年収のリアル』(ダイヤモンド社)があるほか、『デジタル時代の基礎知識「ブランディング」 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール』(翔泳社)などの著書がある。東京都生まれ。