2015年1月に民事再生手続の申し立てを行った後、業績を急回復させた航空会社がスカイマークだ。再建の立役者として陣頭指揮を執ってきた1人が、スカイマークの代表取締役会長であり、同社を支援している投資ファンド・インテグラル代表取締役を務める佐山展生氏。2017年度の定時運航率が93.06%となり、国内航空会社12社中1位を達成するまでに復活した再生の裏側と、それを支える社内風土の改革について話を聞いた。(聞き手/多田洋祐 ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長)
経営者は従業員を
食べさせることが第一
多田 これまで化学大手の帝人、旧三井銀行を経て企業再生ファンドを創設されていますが、スカイマーク再建を誓った最大の動機は、どのあたりにあったのでしょうか。
佐山 いわゆる第3極である独立系の航空会社を維持していくというミッションに強く惹かれました。その業界内のポジショニングを確認した上で、社員のみなさんやそのご家族ともお会いしてみると、本当にいい人たちが多かったんです。もし、我々が手を挙げなければ、スカイマークは破産して消滅してしまったかもしれない会社でした。約2000名いる従業員の生活を守るということも、投資を決めた大きな動機です。
多田 そこまで思えるのは、佐山さんの「大義」がお強かったのだろうと感じました。
佐山 これまでスカイマークに限らず、様々な企業のM&Aに携わってきましたが、いずれにしても基本的に「できて当たり前のこと」には燃えません。「そら、無理やろ」という方が燃えます。阪急・阪神の合併のときもそうでした。村上ファンドに株式の実質過半数を握られた後でしたから、普通ならばひっくり返すのが難しい状況だけに、なんとかしたかった。「できたら面白いけれど難しい」ことに燃えるというのがベースにあるんです。
多田 まさに、佐山さんの人生哲学の1つですね。