世界が再びドル不足に陥っている。今回は新興国が主な犠牲者になりそうだ。今年に入り薄れていた世界的なドル不足の兆しが、9月中旬に再び強まった。米国外の企業や投資家は、究極の流動性をもたらす源泉としてドルに依存している。2008年の金融危機、ユーロ危機、また16年にも、ドル不足に痛手を受けた者は多かった。ドル不足は通常、金融機関が当局に提出する財務報告書で資本に対するリスクの割合を小さく見せようとする四半期末や年度末に最も深刻になる。金融機関は年末に控えた恐るべき期限より十分前にドルを準備しておく必要があることを認識している。そのため過去に比べて影響は小さくなりそうだ。それでもドル不足の再発は、世界のドル依存が終わったとは到底いえないことを指す黄信号だ。特に国際的なドルの流動性に依存している国と企業、つまり主に新興国と金融機関にとっては悪い兆候だろう。