サウジアラビアの工作員によるジャマル・カショギ氏殺害事件を受けて、米国・サウジ関係についてドナルド・トランプ米大統領が20日に発表した粗雑な声明は、自身のためにも米国のためにもならないものだった。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が殺害について知っていたか否かに関して、トランプ氏はほかの誰にも書けないであろう文言を声明に入れた。「知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない!」この感嘆符の意味は定かでない。トランプ氏がむき出しの冷酷な現実政治としか言いようのない外交政策を用いて何を達成しようとしているのかもよく分からない。トランプ氏が声明で言及したような、中東の血なまぐさい現実とイランからの明白な脅威を踏まえれば、米国大統領には国益にかなう中東政策を打ち出す上で大きな裁量権がある。