台湾の有権者らの大きな長所は、現実的であるということだ。これは、中国による侵略の脅威に直面する島としては、有用な資質である。この現実主義は、24日の統一地方選挙でも発揮された。今回の選挙と住民投票では、蔡英文総統に厳しい判断が示され、原子力発電の廃止は否決された。蔡氏が率いる与党・民主進歩党(民進党)は、幾つかの重要な首長ポストと、多くの地方議会議席を失った。蔡氏は、民進党主席を辞任し、2020年初めに予定される総統選挙に向け苦しい戦いを強いられることになった。有権者らは、主として民進党がさらなる経済的繁栄を実現できなかったことに不満を持っていたようだ。2015〜16年の経済の落ち込みの後、域内総生産(GDP)の伸びが加速したにもかかわらず、インフレ調整後の賃金はほぼ横ばいだった。退職した公務員、軍人らの中には、民進党が行った必然的な年金改革への不満から野党・国民党(KMT)を支持した者もいた。この改革によって、特権を持っていたこれらのグループへの高額な手当が削減されたからである。