「プラスチックの海洋流出問題」にドイツの素材メーカーが取り組む理由Photo by Shinichi Yokoyama

ドイツを代表する製薬メーカーのバイエルから素材部門が分離・独立して3年以上が経つ。化学の領域で成長するために、自らスピンアウトする道を選んだコベストロの連結売上高(2017年度)は、約141億ユーロ(約1兆8200億円)と前期比で18.8%伸びている。日本での知名度はいま一つだが、近年は積極的な投資活動などによって、世界の化学業界では“台風の目”となりつつある。今年6月の就任後、日本のメディアでは初めてスタイレマンCEOにじっくりと話を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部・池冨 仁)

――現在、日本では「海洋プラスチックの問題」(主に、回収できないままで海へ流れ出る5ミリメートル以下になった破片)の話題で持ち切りです。

 世界の化学産業をリードしてきたプラスチック(高分子化合物)の材料メーカーとして、マイクロ・プラスチックの流出問題は他人事ではありません。

 2010年ころより――当時はまだバイエルのマテリアル・サイエンス部門でしたが――さまざまな素材を生産する工程で発生するマイクロ・プラスチックの流出防止を目標とした社内キャンペーンを始めている。

 コベストロの連結売上高(17年度)は、約141億ユーロ(約1兆8200億円)。セグメント別の内訳では、自動車・輸送が19%、建築材料が17%、家具用途が18%、電気・電子が12%、化学製品(素材)が8%、その他(スポーツ・化粧品・医療など)が26%となる。従って、プラスチック製品の原材料としての素材から、日常生活で使うさまざまな用途の加工品まで、幅広い種類のプラスチックを扱っています。実際、プラスチックは、あらゆる業態で使われている。