スタバとマックの「プラスチック製ストロー全廃」は本当に環境に優しいかスタバとマックの「プラスチック製ストロー全廃」は、環境問題にどれだけ寄与できるのか(写真はイメージです) Photo:DOL

スタバとマックの背中を押した
想像以上にひどいプラスチック汚染

 スターバックスコーヒーとマクドナルドが相次いで、プラスチック製のストローを廃止する計画を発表した。段階的に取り組みを進め、近い将来、世界中の店舗で全廃を目指すという。一瞬「なぜ?」と思うニュースだったが、両社が廃止に踏み切った背景と、そのことが環境にどのような効果をもたらすかを、まとめてみたいと思う。

 プラスチックが誕生して以降の歴史を見ると、プラスチックごみの大半は土壌に埋める形で廃棄され、その多くが自然分解しない。プラスチックごみは誕生当初から未来の環境問題として議論がなされてきた。

 近年、大きな問題になってきているのは、その中でも海洋に投棄されるプラスチックごみである。海には年間で1000万トンのプラスチックごみが投棄され、それが海洋生物の生態系を壊しているという。日本でも、特に日本海を中心に海岸線に漂着するプラスチックごみは大きな環境問題となっている。

 その中で、スタバとマックの今回の決断を後押しした近年の新しい要素は、SNSである。海鳥の死骸から200片以上のプラスチックの破片が発見された動画や、ウミガメの鼻に刺さったプラスチックストローを手術で除去する動画は、瞬く間に世界に拡散し、大きな反響を呼んだ。世界で最も多くのプラスチックストローを使用すると言っていいスタバとマックの2社がほぼ同時に反応したのは、このSNSの力が無視できない要因であろう。

 そしてもう1つの要因は、スタバが拠点を置くシアトルが世界の中で最も熱心に使い捨てプラスチックの廃止に力を入れてきたという事実である。スーパーで配るプラスチック袋やファストフードで使われる食器、梱包で使われるプラスチック材料などの削減ないしは廃止が、シアトル市全体の目標となっており、その中に今回話題になったストローも大きな削減目標に据えられてきたという背景がある。

 中でもストローが特別なのは、他のプラスチック容器と違い、その大半がリサイクルされないという点にある。そこでシアトルでは、地元の企業が紙製のストローを開発してきた。