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スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリアは、建築家アントニオ・ガウディの死後も、多くの人々に勇気や感動を与えている Photo:iStock/gettyimages

 ガウディといえば、バルセロナで1882年に着工し、いまだ完成していない教会「サグラダ・ファミリア」の設計・建築をした人物として、皆さんもご存じのことでしょう。

 初めてサグラダ・ファミリアを訪れたとき、そこが「工事現場」であったことに驚きました。クレーンがウィーンと動き、ジーッと火花を散らして工事する作業現場を横目に、ヘルメットをかぶり施設を見て回りました。

 世界でも、それなりの入場料を取って、工事中の現場を見せる施設は他に例がないでしょう。

 そんな未完成の作品の見学を終えたとき、ガウディの執念を感じ取り、心が揺さぶられたのを覚えています。

 サグラダ・ファミリアというと、4本の塔がそびえ立つという建物のイメージが強いかもしれません。ですが、実はこの周りには細かい塔が並び、中央に一番大きな塔がドカーンと立つというのが、ガウディの本来の構想なのです。

 これまでに100年以上をかけて8本の塔が建設されましたが、それが18本にまで増える予定です。塔の一つ一つが十二使徒や聖母マリア、イエス・キリストなどをモチーフとしており、施設全体がキリスト教義を伝える造りとなっています。

 驚くべきはガウディの発想です。十二使徒の塔は「鐘楼」として建てられており、全てが完成した暁には、その塔がピアノの鍵盤やパイプオルガンのような役割を担うことを、ガウディは、最初から意図していました。

 要するに、ガウディは、サグラダ・ファミリアが単なる教会ではなく、教会全体が「楽器」となるように設計していたのです。