3メガバンクグループの2018年度上期(4~9月期)決算が出そろった。3メガ共に最終増益を成し遂げたものの、足元では、株式や債券、投資信託など有価証券の運用部門において明暗が分かれた形だ。
この上期は、どの銀行にとっても運用収益を上げにくい状況にあった。要因の一つが、度重なる米国の利上げだ。通常、金利が上がれば債券価格は下がるため、米金利上昇は米国債の価格下落をもたらし、銀行の収益を圧迫した。
もう一つの要因が、米中貿易戦争への警戒感が急速に高まり、「有価証券運用を慎重にせざるを得なかった」(大手銀行首脳)こと。「景気減速を警戒して、運用する投信の増加を見送った」(大手地方銀行首脳)など“守り”の運用をすることを余儀なくされたわけだ。
そうした中、3メガの上期の業績はどうだったのか。運用部門を中心に見ていこう。
まず、最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)。米国債での運用損失が響いて市場部門が1148億円の減益となり、本業のもうけを示す業務純益は、前年同期比19%減の5681億円まで落ち込んだ。
この時点で三菱UFJは、通期の純利益予想を1000億円増の9500億円に上方修正したが、これは、貸倒引当金などの与信費用が大口融資先の業績回復により、1179億円の戻り益を計上したためだ。一時的な要因にすぎず、平野信行社長は「厳しい決算」だと険しい表情を崩さない。